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和のデザインいろいろ

和の色は鮮やかなカラー

日本の長い歴史のなかで生まれ、古くから育まれてきた日本の伝統色。
主に草木などから染め出したその美しい色合いは、日本の風土とよく合い、しっとりとした大人の落ち着きがあり、私たち日本人にとって最も心が安らぐ色ではないでしょうか。 派手な原色にも、そろそろ誰もが飽きだした頃。今回は日本古来の「和」の色についてお話したいと思います。

日本の伝統色と言っても、その内容は実にさまざま。 身近な動植物から採った名前。染め材料をそのまま名前にしたもの。 万葉の頃から使われてきた名前。江戸文化と共に生まれた名前…などなど、実にバラエティに富んだ、味わいや趣のある名前が数多く伝えられてきています。
これからも大切に受け継いで行かなければならない大切な文化です。 色の見え方は、材質やそれに当たる光線によって異なります。

たとえば鮮やかな色であっても、(昼間でも)光の届きにくい場所で見ると、ほのかに感じます。
かつて色は、天然の材質や、天然染料によって生み出されていましたが、19世紀以降になると化学染料に変わり始め、素材も新しい材質が増え、照明の光源も変化しました。 そのため今日、「和」の色を昔のままに感じ取るのは簡単なことではありません。

日本の伝統色:着物

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「和」の色に対して、地味なイメージを持っている方も多いと思いますが、実際はそうでもありません。
天然染料による「和」の色は、鮮やかな色であっても、その色だけが飛び出してしまうことなく、他の色と見事に調和します。

現代において色の氾濫が起きているのは、全ての色がそれぞれに100%以上の主張をしているからです。 建物に使われる色は限られており、生活環境で見られる色が、今とは比べ物にならないほど少なかったと言う事情もあります。
色は、一色の美しさだけではなく、その組み合わせによってさらに美しさが引き出されます。平安時代の貴族たちが十二単衣などの「襲(かさね)色目」として組み合わせた色は、まさに、確立された「和」の色であり、自然そのものです。 貴族たちはそれを和歌に詠み、衣装に再現しました。 最高の色彩美といえる襲の手法は、梅の襲、桜の襲、杜若(かきつばた)の襲、紅葉の襲など、移り行く季節の花を衣装にとどめようとしています。 上に重ねる衣装を少しずつ短く仕立て、袖口、襟元、裾の褄(つま)などから、少しずつずらして色の変化を見せます。

色は季節感だけではなく、その時々の心情も表現していました。このように数々の色がありますが、なかでも紫は高貴な色とされ、貴族であっても上位の人のみが使うことを許された色です。
天皇以外の人は使うことの出来ない色があり、それを「禁色(きんじき)」と言います。紫も掛け合わせる分量で、派手にも地味にもなります。紫は、江戸時代にも好まれた色で、青みのある「江戸紫」は粋な江戸好みと言われています。
藍色は、麻木綿などにも染めることが出来るため、一般の人々にも広く使われた夏の色です。日本の湿潤な気候の中で空気の湿り気が色に緑味をおびさせることがあり、それが「和」の色の特徴となっています。