「和」の紋様
新しいデザインをどんどん追い求める人もいる一方、昔ながらの「古き良きもの」に心惹かれる若い女性なども多くなっています。
デザイン以外にしても、書店では、マクロビオティック(玄米菜食、穀物菜食)や精進料理の本をよく見かけたり、テレビ番組などでは宿坊に泊まって座禅や写経などを体験する人が年々増えている、という情報をよく目にします。
「和」への回帰とでも言うのでしょうか? 日本人の本来持つDNAがうずいているのだろう、と思う今日この頃です。
「和」のデザインには、豊富な種類があります。
和の紋様は、初めは祈願や魔除けに使われていたそうです。そんな古い柄には幸せを招く吉祥(読み:きちじょう又はきっしょう)の柄が色々あります。
西欧、中国、その他あらゆる地域から伝わった紋様を取り入れ、自然のもの・自然の摂理に照らし合わせ、必要に応じて次々に作り使ってきました。
封建時代の身分制度に関係なく日本人はみな、「家紋」を持っています。
家紋は日本書紀によれば、推古天皇の11(603)年に絵画を旗幟に施したのが紋の使用の始まりであり、平安朝時代に公家の徳大寺実能が木瓜紋を、西園寺実季が巴紋を車輿(しゃよ)に付けたのが、家紋として使用した最初という文献が残されています。
平安時代に始まり、江戸時代には3万点とも数万点ともいわれるまでの種類になりました。
対象形、非対称、回転させる点対象などのほか、重ね並び、つなぎ、覗き(円形やひし形のなかに紋様の下部が欠けたもの)まで、あらゆる技法を使っています。
始めは、同一の模様を調度品や衣装・車よなどの装飾に用いていたものが、繰り返し使っているうちにいつの間にか、その家のしるしとなり、やがて家紋となったと言われています。
豊富な家紋を見ていると、昔の日本人のデザイン感覚がいかに磨かれていたかが分かります。
「和」の紋様-2
世界中に広まっているアラビア風紋様(アラベスク)は、「和」では蛸唐草模様(たこからくさもんよう)となって、風呂敷や時期のつぼや皿の絵付けなどの柄になっています。※蛸唐草模様…唐草文様の一種。
渦状に巻く蔓(つる)の外側に葉を簡略化してつけるのが、ちょうど蛸の足の吸盤を連想させるところから俗に蛸唐草文様と呼ばれている。 着物の布における染め柄、織り柄も豊富で、江戸時代に流行った型染の江戸小紋は、幾何学模様にとどまらず、余白のあるものなど大胆なものもありました。
花鳥風月の全てが紋様化され、得意とするデフォルメから書や絵画に見られるぼかし、かすれ、にじみなど、あらゆる意匠の方法が紋様の世界に取り入れられています。
紋様の種類が沢山あると言っても、装飾中心の考えではなく、必要なところに適切に在るため、つまり四季に合わせて、役割に合わせて用いるためです。 そのために、沢山の紋様が作られてきたのです。
洗練されているのに主張しすぎない。「和」って本当に良いですね。