ビジュアルで語るということ
デザインには、言葉以外の要素を、紙面上で演出することが求められます。 デザイナーは、ビジュアルによる「話法」や「文法」を習得することが求められます。
ビジュアルを使えば、直感的に、ストレートに訴えかけることができます。 ビジュアルは、言葉以上に説得力を持つものであるということを、是非知っておいてください。
わかりやすい例として、ファッション誌などの雑誌を眺めてみましょう。目次をじっくり読むのではなく、紙面をぱらぱらとめくって眺めてみます。
皆さんがまっ先に関心を寄せるのは、どういった要素でしょうか? それは、「文字」でしょうか、人物や商品などの「写真」でしょうか、愛らしい「イラスト」でしょうか、あるいは眩いばかりの「色」でしょうか。
そして、思わず目を留めた記事に注目してください。あなたは何に引かれてその記事に関心を寄せたのか、分析してみてください。 どの記事に注目するかは個人差があります。 おそらく、普段から自分が関心を寄せている分野のビジュアルにまっ先に目がいくのではないでしょうか。
別の例として、駅の通路に貼られたポスターを考えてみましょう。 駅貼りのポスターは、人が歩きながら眺めるものです。 通行人は、次々と現れるポスターを脇目でちらちら見ながら歩いているに違いありません。 そうした時に、ふと立ち止まって注視するポスターはありませんか? 休暇中に旅行を計画している時であれば、風情のある観光地の景色や、のんびりとした温泉宿の写真などに目を奪われるでしょう。「あっ、いいなあ」と思って立ち止まって、ポスターに記されている細かい文字を読んでみようと思う気持ちになります。
ビジュアルには、人の心を動かす力があります。ビジュアルの演出は、デザインを考える上での最初の一歩なのです。
色を決めなければならない
私たちの生活において、色はとても重要な役割を果たしています。
デザインを仕事にしていない方でも、少なからず「色を決めなければならない」シーンに出会うことがあると思います。 例えば… ・会社のロゴは何色にするか? ・会社の封筒は何色が良いか? ・パンフレットやポスターの色は何色にするか? ・新商品は何色にするか? ・新しいWebサイトを作りたいがどんなカラーにするか? ・会社の制服は何色が良いか? ・プレゼンテーションのスライドタイトルは何色にするか? 色の勉強をしたことがなくても、その担当者であれば、最終的な色の判断をすることも少なくないでしょう。 皆さんがそういう状況に置かれた場合、どのように色を決定していますか?
色は、対象物を見た人に瞬時にメッセージを伝えられる絶好の素材。
もし、「自分の好きな色だから」とか、「目立つ色なら何色でも良い」とか、「作り手にお任せ」というような決め方をしているなら、それは本当にもったいないです。
出来れば1つ2つでもメッセージ性を色に込めて、さらに可能なら多くの人々に好まれる色・流行色を採用できればベストです。 「イメージ」を、色やデザインで具現化できるデザイナー等の専門職ならともかく、そうでない人が色を決める場合、まず失敗しやすいのが、直感による色の選択です。
もちろん、「青は爽やか」「赤は目立つ」など、万人共通のイメージを用いるのは有効です。しかし、色彩の勉強をしていない人が色を決める場合、まず最初にやるべきなのは、色を選ぶ作業ではなく「キーワード」を見つけ出すことです。
つまり、そのロゴマークやパンフレットで「何を一番伝えたいのか?」をキーワードに設定するのが、まず最初にやるべきことです。そして、そのキーワードから連想される色を導き出していくのです。