食欲を刺激する「色」
飲食店の場合、内装だけでなく使われている照明も、食欲増進の「色」作戦にしっかり連動しています。
使われている明かりは、黄色の光を温かく放つ白熱灯、つまり電球です。
もちろん、電球色の蛍光灯を使っている場合もあります。このオレンジがかった明かりで上から料理を照らすことで、肉料理やパスタなど、メインのメニューがテーブルに置かれたときの印象を大幅にアップさせています。
逆に、青っぽい光を放つ蛍光灯の下で食べると、美味しさは半減することでしょう。
蛍光灯は白色に思えて、実は青っぽい光を放っています。病院などもこの典型的な例です。 たくさんの部屋を運営していくのですから、電気代が安価な蛍光灯を照明として採用しがちなのですが、青白い蛍光灯だと患者さんの食欲を減退させてしまいますのであまり良くないのです。
もし、飲食店で照明に蛍光灯を使われている店があったら、毎日、青白い光の下で相当な損をしながら、営業をしていることになります。 それでも繁盛しているなら、それは料理の質や値段、あるいはお店の方のキャラクターなどでお客様をしっかり納得させているということでしょう。
なお、見た目が勝負の、スーパーの野菜売場や鮮魚売場の多くでも、食材に応じて適切な照明を選んでいます。もちろん、置いてある素材をより美味しそうに見せるために演出しているわけです。 皆さんも、ぜひご自宅でこの効果をチェックしてみてはいかがでしょうか? 蛍光灯を電球に換えただけで、見事に美味しさが変わるはずです。電球色の蛍光灯でも良いと思います。白熱灯の下では、実物よりも黄色みが加わり、より美味しそうに見えますよ。
「ファストフード店」の定番色
「ファストフード店」や「ファミリーレストラン」など、飲食店関連の店舗で最も良く使われているのが、人間が生理的に食欲を感じる、赤などの暖色、つまり暖かさを感じさせる色です。 しかも暖色は、「目立つ」という、店頭で最も欲しい効果も持ち合わせているので、ほとんどのファストフード店の看板や店頭が暖色である、といっても差し支えないくらい、良く利用されている色でもあります。
例えば、皆さんがよくご存知のマクドナルドの場合、暖色の赤地に、白文字で「マクドナルド」・黄色の「M」マークを配置することで、黄色の抽象的連想「気楽」で「安価」というイメージが加わっています。
その上、赤や黄色は子供向けの色・若者向けの色でもあります。 まさに、マクドナルドが意図しているお店のスタイルと客層にマッチしたのが、この赤と黄色の組み合わせです。
飲食店が暖色を使うには、もう1つ理由があります。 暖色は、時間がゆったり流れる感じを与える効果があるのです。実際にはあまり時間が経過していなくとも、随分時間が経ったなと思わせる色なんです。 お客様自身は「店内でゆっくり過ごせた」と思っているのに、実際の時間はあまり経っていない。ファストフード店やファミリーレストランなどの回転率が重要な飲食店の場合、店にとってこれほど有難い色はない色ないですよね。